車のコーティング剤を選ぶときのポイント「撥水」「親水」「疎水」とは?

車のボディやガラスを美しく保つためにコーティング剤を使うという方法があります。様々な商品がある中で、「撥水コーティング」「親水タイプ」「疎水性」などの表示を目にすることがあります。

これらは、どういった効果が得られるものなのでしょうか?その特徴や違いを知ることで、本当に必要としているコーティング剤が見つけやすくなるかもしれません。

コーティング剤を使うメリットは、見た目を美しくピカピカに保つことができる、傷がつくのを予防することができる、水と一緒に汚れも落ちやすくなる、水はけがよくなり洗車が楽になるなどがあります。

今回は、目的にあったものを選ぶために知っているとよい「撥水」「親水」「疎水」という言葉について、簡単にご紹介します。

車のコーティング剤で見かける「撥水・親水・疎水」の文字

車のコーティング剤を手に取ると、「撥水」「親水」「疎水」といった文字が目に入ります。それぞれどういったことを表しているのか?使用した場合にはどんな効果があるのか?疑問に思ったポイントを調べてみました。

撥水性のコーティング剤

まず最初に、「撥水」についてです。国語辞典で意味を調べると、「布・紙などが表面で水をはじくこと」とあります。水を弾く性質のことを撥水性といいます。

撥水性と表示されているコーティング剤を施工すると、表面でコロコロと球状の水玉が転がるように弾きます。そのため、弾いているという実感が湧くような見ていて気持ちのよい弾き方をします。コロコロとまとまった水滴が生じるので、洗車時などにも水の拭き上げがしやすく感じられるかもしれません。

ただし、できた水滴が表面でそのまま乾いてしまうと、イオンデポジット(白く残った水垢)や※ウォータースポットが発生する可能性があります。(※ウォータースポット:雨粒や水滴がレンズの働きをして日光を集めることで、ボディの塗装面が焼けたり浸食されてしまうことがあります。)

そのため、雨に濡れないような場所に車を保管できる場合や、洗車などのメンテナンスをこまめにできる方に適したコーティングです。

親水性のコーティング剤

次に、「親水」についてです。言葉の意味を調べてみると、「水に親しむこと」「水との親和性があること」とあります。水をはじかない、水と結びつきやすい性質を親水性といいます。

親水性と表示のあるコーティング剤を車に施すと、コーティングされた表面で水滴を弾かないのでコロコロと水玉にならずに、水が塗装面に馴染んで薄く広がるように流れ落ちます。そのためイオンデポジットやウォータースポットが付着しにくくなります。

コロコロとした水滴の状態で弾かないので、見た目の印象としてはコーティング剤がかかっている実感は湧きにくいかもしれませんが、水染みが残りにくいという点では、外に駐車をする方やなかなか洗車などメンテナンスの時間が取れない場合に適したコーティングといえます。

疎水性のコーティング剤

続いては、「疎水」についてです。辞書によると、「灌漑・給水・発電などのため、土地を切り開いてつくった水路」という意味を持つ言葉ですが、そのほかには、「水になじみにくいこと」「水との親和性が弱いこと」「水との親和性が小さいこと」「水と結びつきにくいこと」などの意味があります。

辞書では、先ほどの「親水」と対になる言葉と記載されていますが、こちらもコーティング剤を施した表面の状態としては、コロコロとした水玉になるのではなく、水は塗装面に馴染んで広がるように流れて、水はけがよく水滴が残りにくいので、イオンデポジットやウォータースポットもできにくくなります。

撥水・親水・疎水とは? まとめ

撥水「表面で水をはじくこと」

疎水「水との親和性が弱いこと」

親水「水との親和性があること」

このように言葉の意味をまとめてみると、それぞれの性質は水との関係性であるということがわかります。水は車の塗装面から中に染み込んでいくことはないので、どの言葉もコーティング剤を施した物質の表面が水を「はじく」ときの様子を表しているというふうに捉えられます。

その状態をわかりやすく説明した図があり、水が物質と接触する角度によって分類されています。コーティング剤を塗布した表面と水が馴染みやすい性質か馴染みにくい性質かによって、水のまとまり方が違う様子が図を見るとわかりやすくなります。

「液体の接触角」が「ぬれ」を表す指標として使われます。以下が、「液体の接触角」と「親水・疎水・撥水」の大まかな分類を示した図です。

図に示したように、物質表面に水が接する面の角度が小さいほど、表面に広がるように流れ落ちる親水性という性質を持ちます。物質表面に水が接する面の角度が大きいほど、表面でコロコロとした水滴ができる撥水性の性質を持ちます。

より詳しい説明をするためには、液体と物質の化学的な反応や物理的な力の働きなどの違いも関係しているのですが、ここではコーティング剤の違いを表現する言葉としてみると、「疎水」は撥水と親水の中間の弾き方として使われていることも多いようです。

また、水はけがよいという意味合いでは「滑水」という言葉で表されていることもあります。

今回は、「撥水」「親水」「疎水」の違いについて簡単にまとめました。撥水性、親水性、疎水性と記載のあるコーティング剤を車に使用したときの水はけの違いを少しイメージしていただけたでしょうか?

コロコロと水を弾く仕上がりがよいか?さらりと水が流れていく仕上がりがよいか?そういった見た目の様子や、水の弾き方の違いなどからも、車のボディやガラスのコーティング剤を選ぶときの基準のひとつにできるかもしれないですね。